木のあかり〜次世代へつなぐ心と技〜

 古来から伝わる木工技法組子、かつては欄間や書院または障子といった日本家屋に多く見られましたが、現在のような住宅においてはすっかり見ることができなくなりました。組子は薄く削った木を格子状に組み合わせたり、その中に模様を組み入れたりする技法で、高度な技と永い経験が必要とされます。使われている材料は100分の1ミリという極めて高い精度が要求され、その加工には指先の感覚が非常に重要という、まさに日本人ならではの繊細な感覚が無くては成しえない世界です。

 わたしたちは、この日本人ならではの優れた技法である組子を次世代につなぐため、あかりという形にしました。組子という伝統技法を新しい解釈の元、大胆かつ優美で繊細な美しい木のあかりに進化させ、これまでにない照明器具に仕上げました。その数は卓上から床置き、さらにはペンダントやブラケットタイプといった複数のバリエーションを持ち、優に60種類を超えるラインナップを誇ります。また、毎年新作を追加し続けており年々その数を増やしています。

 木のあかりは縦横の格子を基本とし、そこから広がる光と影を最大の美点としています。明るさだけを旨とする照明器具ではなく、あかりが持つ癒しや安らぎの力を引き出すことを目指しました。木のぬくもりや肌触りを尊ぶこころは、日本人の永い歴史の中で受け継がれてきた優れた精神と遺産です。金属やプラスチックでは決して伝わることのない生きた気を感じてほしい、そんな想いがこの木のあかりには込められています。

 目まぐるしい速度で変化する現代社会の中において、ともすれば失われてしまいかねない組子の技、わたしたちは日本人の優れた心と技を次世代へとつないでいきたい、そんな想いから木のあかりを作っています。
林木工芸 有限会社